法的根拠に基づく強制と補償がセット--新型コロナ米国の対応
2020年5月3日7:00AM
自治体財政による格差も
大統領・州知事・市長の命令のうち、緊急性と必要性がきわめて高いもの以外は、各議会の立法によって強制力と財政出動の法的根拠が与えられた後に実施される。公権力が、連邦法・州法・市法によって強制的に権利を制約し、機会損失をもたらすのである。この強制が徹底されないと、社会に損失がもたらされる。新型コロナウイルスと闘うためにも、断じて、生活のために禁を犯さざるを得ない人々を生み出してはならない。したがって、補償を伴わないことは許されない。これが、米国の一般社会通念となっている。
そうはいっても、各自治体の財政基盤による制約は必然だ。たとえばサンフランシスコ市は、学校休校にあたって食事の提供を継続しているが、頼みの綱はフードバンク。ある小学校には、フードバンクから食事ではなくスナックが届けられ、子どもたちや関係者が怒りの声をあげた。より厳しい財政状況にある自治体では、より深刻な状況がありうるだろう。
(みわ よしこ・フリーライター。2020年4月10日号)