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望まれる安倍政権の交代

高橋伸彰|2020年5月7日12:00PM

安倍晋三首相は、7年前の政権復帰に際し「アベノミクス以外に選択肢はない」と述べ、「三本の矢」による持続的な成長の実現を最優先の政策課題に据えた。今回の新型コロナウイルスによる経済ショックに対しても、ロイター(3月23日)によれば参議院予算委員会で「前例にとらわれることなくマグニチュードに見合う強大な経済財政政策で日本経済を成長軌道に戻す」と強調したという。

 だが、改めて戦後日本における歴代政権の経済計画を振り返ると、1960年12月に策定された池田勇人内閣の「国民所得倍増計画」以降は、佐藤栄作内閣の「中期経済計画」(70年5月策定)から小渕恵三内閣の「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」(99年7月策定)に至るまでほぼ30年にわたり、ひずみの是正や豊かさの実現および環境との調和などが優先課題として掲げられてきた。

成長が第一に復活したのは、「失われた20年」で失われたのは経済成長だと決めつけ、「改革なくして成長なし」をキャッチフレーズに、派遣労働の規制緩和拡大や郵政民営化など市場原理主義的な改革を進めた小泉純一郎内閣以降である。

これに対し環境経済学者の宮本憲一氏は、失ったのは成長ではなく「ゼロ成長でも失業のない豊かな生活を実現できる経済システムの構想」(『日本社会の可能性』)だったと言う。

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