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少しずつ変わり始めた安倍首相会見

阿部岳|2020年5月7日9:53AM

完全アウェーの会見取材3連発。3月14日は、23年の『沖縄タイムス』記者生活でも珍しい1日になった。

福島での二つの会見

一つ目は午前6時半前、福島県の富岡駅。常磐線がこの日、東京電力福島第一原発周辺で事故から9年ぶりに運行を再開した。1番列車で着くと、外に人だかりがある。JR東日本の深澤祐二社長の会見だと知った。

地元メディアから質問が一つ出た後、沈黙があったので聞いてみた。「組合からは汚染への懸念が出ているようですが」。複数の労組が試運転車両の放射能汚染を告発したり、乗員乗客の被曝対策を求めたりしていた。深澤社長は「しっかり除染した」と答えた。

続いて、双葉駅で特急の1番列車を出迎えるセレモニーがあった。終了後の午前11時半から、赤羽一嘉(あかばかずよし)国土交通相らがホームで会見。ここでは、沿線の放射線量や「五輪どころではない」という地元の声について質問が飛んだ。

私も、「五輪に合わせ、状況が整っていないのに(運行再開を)強行した側面はないのでしょうか」と聞いた。26日には常磐線で運ぶ聖火リレーが迫っていた(その後中止)。逆算して駅周辺の避難指示を解除し、運行を再開したことは誰の目にも明らかだった。

赤羽氏は「安全をないがしろにして五輪に合わせたというのはまったくの事実誤認。政治家生命を賭けて断言したい」と語気強く否定した。地元にとっても晴れの日である。周囲にいるメディアの人も、私のようなよそ者の質問を不快に思うかもしれない、と気にはなった。しかし、もはやそうしたメディア同士の縄張り、お作法を守っている場合ではない、という切迫感も、私にはあった。

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