新型コロナ補償、必要な人に届く仕組みを
鷲尾香一|2020年5月8日10:32AM
政府は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で収入が減少した世帯などへの現金給付を行なうことを決めた(4月3日時点、注)。
給付金額は「1世帯30万円」で、対象は「住民税非課税世帯」と「一定の所得制限を定め、収入が5割程度下がるなど急減した世帯」に絞る方針だ。
この方針に対して、さまざまな声が上がっている。例えば、「住民税非課税世帯」を前提とするならば、単身者世帯で年収100万円以下、会社員で専業主婦と子ども2人の4人世帯で年収約255万円以下となる。
これだと大方のサラリーマン世帯などは対象にならない可能性が高い半面、無職や生活保護世帯、年金受給者などの新型コロナウイルスの影響が比較的に少ないと思われる層が中心となり、本来支援が必要な層が対象から外れる可能性が高くなる。
そこで「一定の所得制限を定め、収入が5割程度下がるなど急減した世帯」を対象とすることにしたものと思われる。しかし、その自己申告が必要であり、その手続き方法自体が明確になっていない。
自己申告手続きや、そのための証明書類が必要となれば、“迅速な”給付は望むべくもなく、さらに申告ができない人が多く出てくる可能性もある。
根本的な問題として、新型コロナウイルスの感染拡大の影響がいつまで続くのかが見えない状況で、「一度だけの給付」で十分なのかという点は大きな疑問だ。