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かっこいい看護師さん
小室等|2020年5月9日5:37PM
一九五〇年代、かっこいいと憧れたのはジェームス・ディーン。
エリザベス・テーラー、ロックハドソンと共演した『ジャイアンツ』の撮影終了から一週間後の九月三〇日、翌月の一般公開を待たずに、自動車事故で亡くなった。
『エデンの東』『理由なき反抗』『ジャイアンツ』、たった三作を残し、映画史に輝くジェームス・ディーンは二四歳で逝ってしまった。残した三作品に通底するのは、“反抗”。大人たちの保守的な権力に対する反抗の象徴が、ジェームス・ディーンだったのだ。
かっこよかった。
今の若い人たちはもはや誰も知らないと思うが、五五年に『エデンの東』でアカデミー賞主演男優賞にノミネート、その評判で同年に『理由なき反抗』が早々と作られ、五六年に『ジャイアンツ』で再度アカデミー賞にノミネート。五二年、演劇学校アクターズ・スタジオではマーロン・ブランド、ポール・ニューマンと同期だった。共通して三人とも反抗的だ。
ミーハー的に好きだったにすぎないと言われるかもしれないが、そのミーハー気分の中に、大人や権力に刃向かうジェームス・ディーンがいて、だからいまだにジェームス・ディーンを、共感をもって僕はかっこいいと思うのだ。
今、自分の命のリスクを承知で行動する医療従事者たちに、ジェームス・ディーンが重なる。芸能ごときと医療とを比べるなという声が聞こえてくる、でも。
かっこいいなど、不適切かもしれないが、あの日若者だった後期高齢者の僕は、コロナに立ち向かっている二人の看護師さんを、ジェームス・ディーンと同じように、心底“かっこいい”と思う。フロントにいる医療従事者のみなさんの無事を心より祈ってます。
(小室等・シンガーソングライター、2020年4月17日号)
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