新型肺炎、首相の脳天気動画と「常識の通じない危機」
西川伸一|2020年5月9日3:41PM
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻の度を増している。安倍晋三首相や各自治体の首長の危機管理能力が厳しく問われる重大局面である。
折も折、中邨章(なかむらあきら)明治大学名誉教授・研究特別教授が『自治体の危機管理』(ぎょうせい、右写真)を刊行した。帯文には
〈危機に対する「意識」を持ち、「認識」を新たにし、「知識」を集め、「組織」を固める“4識(織)”を向上することが、常識の通じない危機への対処法!〉
と謳(うた)われている。
現在の「常識の通じない危機」管理の担当者すべてが肝に銘じるべき警句といえる。本文には、危機管理について「究極的にはヒトの問題になる」と指摘されている(18頁)。「どれほど大量の資金をつぎ込み新しい装置を導入しても、それを動かすのはヒトである」(同)と続く。
ヒトの危機管理がもっと重い価値を今回の感染症は再認識させた。それを端的に示したのが、英国のジョンソン首相が罹患し、一時は病院の集中治療室で処置を受けた事態である。安倍首相にも十分起こりうる「危機」であろう。