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新型コロナが招く「経済の政治化」危機
佐々木実|2020年5月10日10:51AM
二段階のフェーズを持つ緊急経済対策
政府はコロナ経済対策の柱として(1)感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発、(2)雇用の維持と事業の継続、(3)次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復、(4)強靭な経済構造の構築、(5)今後への備え、の五つを挙げている。
感染症拡大の収束にメドがつくまでの「緊急支援フェーズ」、収束後の「V字回復フェーズ」という二段階のシナリオを政府は描いている。五つの柱でいえば、(2)までが第一段階、(3)以降は第二段階に対応するだろう。
喫緊の課題は「(2)雇用の維持と事業の継続」で、要するに、企業倒産と家計破綻を防ぐ施策だ。需要創出効果を狙う平時の政策とは異なり、いかに迅速に資金支援できるかが鍵を握る。企業の資金繰り支援には事業規模45兆円を見込んでいる。
都道府県の制度融資を活用することで、政府系金融機関と同様の実質無利子、無担保の融資を民間金融機関も担えるようにしたほか、税金と社会保険料の1年間猶予(総額26兆円)もはじめての特例措置だ。
返済義務がないのが現金給付で、家計向けに「生活支援臨時給付金」(4兆円)、事業者向けには「持続化給付金」(2・3兆円)を設けた。家計向けは世帯単位で、世帯主が2〜6月のいずれかの月で(1)月収が減って年収換算で住民税非課税水準になる、(2)月収が半分以下に減って年収換算で住民税非課税水準の2倍以下になる、のいずれかに該当する世帯に30万円を給付する(4月14日時点、注)。
事業者は収入の半減が条件で、個人事業主に最大100万円、中小企業に最大200万円を給付する。