更田委員長が虚偽説明--原子力規制委の事前会議問題
脱原発弁護団全国連絡会|2020年5月19日5:51PM
音声は『毎日新聞』のサイト(https://mainichi.jp/articles/20200325/k00/00m/040/232000c)で会見の動画とともに確認することができます。
国会事故調報告書は、深刻な災害が万が一にも起こらないよう原子力事業者を規制すべきであった規制当局が、実際には事業者の「虜(とりこ)」となっていたこと、福島第一原発事故は、その結果招来された「人災」である旨を厳しく指摘し、原子力法規制の在り方について猛省を促しました。
12年6月20日、原子力規制委員会設置法が成立、原子力基本法や原子炉等規制法も改正されました。これらの改正は同事故のような深刻な災害を万が一にも起こさないようにするために規制行政を根本的に見直すという趣旨で行なわれたことは明らかであり、推進側の論理に流されず安全を第一に考えることが法律上も明確化されたのです。
しかし、16年6月29日、規制委は原子力規制庁作成の「実用発電用原子炉に係る新規制基準の考え方について」を了承。この「考え方」は各地の原発差止裁判で、国を被告とする行政訴訟のみならず、電力会社を被告とする民事訴訟や仮処分事件等においても証拠として提出されています。住民側の主張を退けた裁判所の判断には、「考え方」の内容が安易に採用されています。規制委が事業者を救済するのみならず、裁判所の判断の誤りを招き、司法が行政に単に追随する機関に陥っているのです。
18年3月7日には原子力規制庁から、「原子力発電所の火山影響評価ガイドにおける『設計対応不可能な火山事象を伴う火山活動の評価』に関する基本的な考え方」が示されました。巨大噴火のリスクが社会通念上容認される水準であることを考慮し、過去に巨大噴火を発生させた火山について、合理的な根拠なく「巨大噴火の可能性が十分に小さい」と判断できるという内容です。
火山ガイドの立地評価規定を事実上死文化させることを狙うものでした。17年12月13日の広島高裁決定で、火山ガイドにしたがえば伊方原発は立地不適であると指摘され、運転が差し止められたことから、同様の司法判断がなされることを牽制する意図によるものであることは明らかです(本誌18年4月20日号〔1181号〕で添田孝史氏も指摘)。