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総額2000億ユーロ(約24兆円)の支援策実施はEU頼み--新型コロナ、スペインの対応
童子丸開|2020年5月24日10:43AM
スペインのコロナウイルス感染者は4月6日に13万人に達し、死亡者数は1万2000人を超えた。政府保健相は感染者数と死者数の減少傾向を強調するが、我々にその実感はない。
特に首都のあるマドリード州は4月6日までに3万8000人の感染者と5000人を超す死者を出し、病院で収容し切れない患者を臨時の病院に改装されたホテルや大型展示会場に収容している。
しかし医療用装備や重篤患者用の集中治療室が絶対的に不足しており、医療崩壊による死亡者数の激増が懸念される。また、カタルーニャ州バルセロナ市とその周辺地域だけで2万人を超す感染者が出ている。同市在住の筆者自宅付近の30分程で1周できる区域ですら70人も出た。
感染者の爆発的増加が始まった3月14日、スペイン政府は国家緊急事態を宣言し、国中で食品関連や薬局などを除くほとんどの店舗が閉ざされ、人を集めるすべての行事が禁止された。
筆者の住むバルセロナ市からも観光客の賑わいと雑踏、騒音と排気ガスが消え去った。食料や医療、情報や金融などに関連するごく一部の職場だけが活動を許され、その他の人々は自宅に留まることが義務付けられる。食料購入や病人の看護などでの外出は許されるが、親族や友人の家への訪問、ジョギングはおろか散歩すら禁止される。集会やパーティなど論外である。
警察官が常に街を見張っており、外出禁止令の違反者には最大6万ユーロ(約720万円)の罰金や禁固刑が科せられる。自由の街バルセロナは、一夜にして「戒厳令下」の都市と化した。
しかし現在のところ、筆者の周りでこの措置に対する不満は聞こえず、ほとんどの市民が進んでこの状態を受け入れている。感染拡大から自分と家族の身を守るためだ。以前はマスク姿で道を歩くと妙な顔をされたが、今やマスクなしでは厳しい目で睨みつけられる。また1・5メートルの「社会的距離」がどこででも自発的に保たれている。