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総額2000億ユーロ(約24兆円)の支援策実施はEU頼み--新型コロナ、スペインの対応
童子丸開|2020年5月24日10:43AM
外出禁止令違反者が続出
一方でウイルスの集団感染を広げかねない行動する者も跡を絶たない。現在までに全国で、不要の外出、集団行動、自転車やバイクでの遠出などで25万人に罰金、2000人以上が逮捕された。激しく抵抗する違反者を逮捕する際に警官が発砲した例もある。また車で都会からの脱出を図る4000人近い人々が高額の罰金を科されたが、それは病院のない田舎に感染を広げる危険な行動だ。
当然のようにSNSでは政府の措置の行きすぎと警察官の横暴を告発する声が上がるが、自らの行為の危険さには無自覚である。取り締まりにあたる警察官からも大勢の感染者と死者が出ている。自由を求める側も取り締まる側も犠牲者なのだ。
この疫病禍が経済と国民生活に与える悪影響は甚大だ。そのため中央政府は国家緊急事態宣言に並行して、総額で2000億ユーロ(約24兆円)規模にのぼる支援策を打ち出した。一時解雇の労働者の社会保険費の補償、中小零細企業事業費への補償、個人事業者に対する最大70%の収入補償と最低生活保障、社会保険費と水光熱費や住宅ローン・賃貸料支払いの猶予、疫病禍を理由の労働者の解雇禁止などである。
ただそれらの措置の完全実施と医療対策には、EUからの手厚い支援が必要になるだろう。
(童子丸開・ジャーナリスト。2020年4月10日号)