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アルコールによる消毒・除菌 
過敏症の方に配慮を

岡田幹治|2020年5月25日3:46PM

スーパーの出入口でアルコール消毒液を使う人。(撮影/岡田幹治)

新型コロナウイルス感染防止のため、いたるところで消毒・除菌が行なわれているが、それで体調を悪化させる人もいる。

埼玉県のAさんは重度のアルコール過敏(不耐)だ。3月18日の午後4時ごろ、かかりつけの病院へ行ったところ、院内の清掃・消毒にかち合った。強いアルコール臭が急に立ち込め、それを吸い込んでフラッとよろけた。

持病の治療を急いで済ませ、駐車場の車に避難したが、おなかの調子が悪くなり、寒気がする。温かい飲み物を飲み、1時間ほど休んで運転を始めたが、感覚が正常でなく、あちこち道を迷い、普段は20分ほどで帰宅できるのに1時間半もかかった。その後、しばらく寝込んだ。

以来、通院を控えている。近くのスーパーもアルコール臭が強くなって、行けなくなった。
アルコール過敏の人は、アルコール消毒液に触れたり、揮発した成分を吸い込んだりすると、頭痛・動悸・吐き気などの症状が出る。またアルコールアレルギーの人は皮膚炎やじんましんになる可能性があり、場合によっては呼吸困難に陥ることもある。

〈電車内で除菌ウエットシートを使われただけで、ウッとなる。商業施設の入口に立つスタッフが持つアルコール消毒スプレーは最悪の凶器だ。そんな重度のアルコールアレルギーの人間がいることを知ってほしい〉という趣旨の訴えがネットに流れている。

消毒液や除菌商品にはアルコールのほか、殺菌力の強い二酸化塩素や次亜塩素酸などが使われており、これを化学物質過敏症(Chemical Sensitivity=CS)の人や化学物質に敏感な人が吸い込むと、体調が悪化する。

高知県のCS患者Bさんは3月11日午後、病院の待合コーナーで診察を待っていた。突然、2、3人の清掃スタッフが椅子の消毒を始めた。気づいてすぐにその場を離れたが間に合わず、消毒液の成分を吸い込んでしまった。のどに焼けるような強い痛みを感じ、力が抜けた。

診察を短時間で済ませて何とか帰宅したが、のどと気道の痛み・咳・我慢できない渇き・皮膚の乾燥・強い疲労感など全身にさまざまな症状が出て、家事ができない。そんな日が1カ月余り経っても続いている。

院内を消毒するなら、事前に通知するか、直前に「これから消毒を始めます」と案内するかしてほしかったとBさんは嘆く。

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