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新型コロナ、PCR検査数が桁違いに少ないわけ
長谷川綾|2020年5月31日11:03AM
『日本経済新聞』3月12日朝刊の「真相深層 『疫学調査』優先の誤算」によると、厚生労働省は当初、PCR検査を患者一人一人を検査して治療する医療行為ではなく、感染拡大を抑えて社会を守る公衆衛生の発想に基づく「疫学調査」と位置づけた。
このため、国立感染症研究所が「自前で確立した検査手法にこだわった」。製薬世界大手ロシュの検査キットで民間会社が検査し出すと、性能がばらつき、疫学調査で最も大切なデータ収集が難しくなるからだという。
「医療ガバナンス研究所」理事長の上昌広(かみまさひろ)医師は『毎日新聞』3月18日夕刊のインタビュー記事で、感染研が中心の専門家会議を「ウイルスを見ても、人間を見ていない」と批判した。無症状の人が半数を占めたクルーズ船の集団感染を教訓に「病気の封じ込めではなく、死亡率の高い高齢者らをケアすることが最も大切」なのに、「高齢者医療の専門家はいない」と指摘。厚労省が示した「相談・受診目安」の重症化リスクに早くから警鐘を鳴らしていた。
国は専門家会議の意見に従い「検査を増やせば、軽症者対応に追われ医療崩壊が起きる」と説明してきた。実際は、検査していない無症状の人から感染が広まり院内感染などで医療が逼迫(ひっぱく)している。