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「アベノマスク」謎の2社の背後でうごめく福島県議
鈴木博喜|2020年6月4日3:35PM
【伊藤氏は取材に応じるも……】
福島駅西口から車で10分ほどの場所にある長屋のようなプレハブ棟の「ユースビオ」。そして前記「シマトレーディング」の2社に政府は計5億2000万円分の布マスクを発注したという。当初、政府は発注先として伊藤忠商事、興和、マツオカコーポレーションの3社名のみ公表していたが、4月27日の会見で4社目がユースビオだと菅義偉官房長官がようやく公表。翌日の衆院予算委員会で今度は厚労大臣の口からシマトレーディングの名前が明かされた。
しかしこの2社は他の3社とは会社規模が大きく異なる。また登記簿上のユースビオの本業は「再生可能エネルギー生産システムの研究開発及び販売」などマスクとは縁遠い。しかも突然「貿易及び輸出入代行業並びにそれらの仲介及びコンサルティング」など3項目が同10日に追加登記されている。
ユースビオの樋山茂社長は複数のインタビューで公明党支持者であると明言。社内には同党所属の福島県議会議員や福島市議会議員のポスターが貼られている。その一人、伊藤達也県議は今回の問題のキーパーソンとなりそうだ。
実は官房長官会見で社名が明かされる4日前の4月23日、福島県新型コロナウイルス感染症対策本部に2万5000枚のサージカルマスクが寄付された。用意したのはユースビオとされ、前日に対策本部へ寄付を申し出たのが伊藤県議。当日、樋山社長は県庁に現れなかったが、伊藤県議は県職員と一緒に荷卸しを手伝い、段ボール箱のラベルも「購入元:公明党 伊藤達也議員」。県は同27日に「ユースビオからのマスク寄付」「伊藤達也県議会議員の仲介」とのプレスリリースを県政記者クラブに出したが、それまでユースビオの名前は一切、伏せられていた。
伊藤県議に対しては県議会の他会派から「公選法違反にあたるのでは」との指摘も出ている。公明党国会議員の秘書を20年にわたって務めていたことから「永田町とのパイプが強く、伊藤県議がアベノマスク受注の窓口になった可能性がある」とささやく県議もいる。
伊藤氏は取材に対し今月4日、「樋山社長とは自宅が近く、選挙などで世話になっている。サージカルマスクの寄付では表に出たくないとのことだったので自分が間に入った。あくまで仲介しただけ。私自身の寄付行為にはならない」。
アベノマスク疑惑については「国や樋山さんとか、皆さんにきちんと説明してもらって……。ま、その辺になると、ちょっと私もわからないものですから……。そういう質問になったら私は答えられないんです。話が全国的に大きくなっちゃってるので、基本的には党本部に文書で問い合わせてください」と、逃げるばかりだった。
(鈴木博喜・『民の声新聞』発行人、2020年5月15日号)