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退場の潮時を迎えた竹中平蔵氏
佐々木実|2020年6月17日10:32AM
一方で竹中氏は、民営化ビジネスに企業人として関わる。社外取締役を務めるオリックスはコンセッションに商機を見いだし、関西国際空港、大阪国際空港(伊丹空港)、神戸空港の運営に携わっているほか、近年浜松市の水道民営化に参入したばかりだ。
コンセッションに関わる非公表の重要資料を、オリックス取締役が「未来投資会議分科会長」の立場を利用して国交省から取得するのは利益相反行為である。だが、『週刊朝日』の取材に竹中氏は、「私が役員を務める会社に提供することはない」と答えて済ませている。
複数企業の経営者である竹中氏には、パソナ会長でありながら労働規制の緩和に関わるなど、常に利益相反問題がついてまわる。「民営化」や「規制緩和」を企業のビジネスチャンスとしか捉えていないことを裏づける事実でもある。
小泉純一郎政権の「構造改革」を閣僚として指揮した竹中氏は、安倍政権では未来投資会議だけでなく、自らの提言で実現させた国家戦略特区諮問会議の中枢メンバーでもある。未だ「構造改革」を継続する“改革の第一人者”だ。
だがいま、新型コロナウイルスが招いた経済危機は、医療従事者や非正規労働者など長年にわたる「構造改革」で疲弊した人々を急襲している。
経済学者のジャック・アタリ氏はコロナ危機について「危機が示したのは、命を守る分野の経済価値の高さだ」(『日本経済新聞』4月9日付)と語っているが、コロナ後に刷新すべきは、「規制の緩和」「民営化」が自己目的化した悪しき“改革”だ。既得権益にまみれた“改革の第一人者”は退場の潮時を迎えている。
(佐々木実・ジャーナリスト。2020年5月22日号)