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辺野古新基地建設止め、新型コロナ対策を
阿部岳|2020年6月17日10:06AM
無法正す成功体験
この局面における政府の失策は、辺野古新基地建設という壮大な無駄遣いへの注目を高める可能性がある。なにせ、総事業費は沖縄県の試算で2兆5500億円に上る。政府は従来説明の2・7倍に当たる約9300億円に膨らむことしか認めていないが、今後も膨張し続けることは確実だ。
新基地はキャンプ・シュワブがある辺野古崎の両側を埋め立てて造る計画で、先に水深が浅く工事が簡単な辺野古集落側から埋めている。本来は反対側の大浦湾から始める予定だったのだが、ただでさえ水深が深い上、「マヨネーズ並み」にどろどろな軟弱地盤が存在することが分かり、後回しにせざるを得なかった。
その大浦湾側では、6件の工事をゼネコンなどに発注していた。しかし、軟弱地盤の改良が必要になって前提が変わり、今年3月までにすべての契約を打ち切ったことが発覚した。うち5件は本体工事に着手できないまま。それでも政府は契約金額の7割に当たる約302億円を支払った。大浦湾に捨てたようなものだ。
今後の地盤改良も前例のない難工事になる。いくら巨費をつぎ込んでも本当に完成するかどうか、おぼつかない。
そもそも新基地を使うことになっている米海兵隊自体、敵前上陸という「活躍の場」を朝鮮戦争を最後に失い、以来70年も自らの存在意義を探し続けている組織であることがつとに指摘されてきた。彼らがPRする任務はある時は災害救援であり、最近は機動展開による拠点確保を言い始めている。百歩譲って存在意義はあるとしても、日本や沖縄の防衛に不可欠な機能とはとても言えない。
端的に言って、新基地自体がもともと「不要」であり、「不急」の極みである。これだけの予算があるならコロナ対策や市民の傷みきった暮らしを支える事業に回すべきだという野党の主張は、今後ますます説得力を持つだろう。