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新型コロナ、多くの善意に支えられる困窮者支援
雨宮処凛|2020年6月20日1:51PM
新型コロナウイルスは、この国のもっとも弱い立場の人たちに大打撃を与えている。十分な貯蓄と快適な家があり、DV加害者が家族に1人もいない人はいつまでも「ステイホーム」できる。が、格差と貧困が拡大することを容認してきたこの国には、家がなく、その日の日雇い派遣の仕事がなければ宿すら確保できない層が膨大に存在する。
2018年の調査によると、東京都内だけでネットカフェ難民は4000人。5月6日の時点で、東京都が用意したホテルには823人の「ネットカフェ生活者」が滞在している。が、「家がない人」がこれほど多くいるのになんの対策もとられてこなかったことがおかしいのだ。
一方、連休明けからSOSの内容は一段階、悪化した。すでに路上生活になったという人から「ここ数日、なにも食べていない」という連絡が入るようになったのだ。
また、家はあっても「食べ物がない」という声も増えている。「泊まれる場所がほしい」という相談が一番多かったのに、連休明けからは「食料がほしい」に変わった。
生命の危険が及ぶレベルの飢餓が今、この国に広がっている。しかし、自民党が何をしているかと言えば、検察庁法改正をゴリ押ししようとしている。この国に生きる人々の命にあまりにも無関心な政治に絶望しそうだが、「新型コロナウイルス緊急ささえあい基金」には、2500万円以上の寄付金が集まっている。支援活動は、多くの善意に支えられている。
(雨宮処凛・『週刊金曜日』編集委員。2020年5月22日号)