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東京外環道、沿線住民が工事差し止め仮処分申し立て 
致死レベルの酸欠空気が上昇

丸山重威|2020年6月23日11:29AM

動画を見せる武内更一弁護士。(提供/東京外環道訴訟を支える会)

地下40メートル以上の大深度地下にある工事現場から酸欠空気があちこちの地上に上昇し、問題になっている東京外環道工事(本誌3月27日号参照)で、沿線の住民らが「これ以上、命の危険には耐えられない」と工事差し止めの仮処分を5月27日、東京地裁に申し立てた。

申し立てたのは建設道路の真上に住む人を含む沿線の住民13人。すでに2017年12月18日に東京地裁に提訴し、弁論が続いている。ところが、裁判の係属中に生じている酸欠空気の上昇や漏水、振動などについて、被告の国と高速道路会社2社(NEXCO東日本・中日本)は当初「気泡が出ないようにする」としていたのが、最近では「大気で希釈されるから問題はない」と、工事停止どころか質問にも答えないまま、コロナ自粛期間も工事を続けている。

酸欠空気の噴出がわかったのは18年5月の野川(世田谷区)、昨年9月の白子川(練馬区)と今回の野川(調布市・狛江市)の3回。記者会見で原告らは「最初は気泡が出ないようにするとして工事をいったん止めたが、その後は住民の要求を一切無視して続けている」「たまたま川があったからわかったが、住宅の地下室や浴室、トイレなどの排水口から上がってくる危険がある。子どもを1階の部屋には寝かせられない」などと訴え、動画を紹介した。

会見後には自分たちで採取した空気を酸素測定器で披露した。通常の酸素濃度は21%だが、ペットボトルに採った空気を測定すると、そのまま吸えば致死レベルの6・6%だった。

そもそもこの工事、原告は「無承諾、無保証で私権を侵す大深度地下使用法は憲法違反」と訴えている。同法は「地上とは無関係」を前提にしたものだけに、影響が地上に出てきたことは法律の根拠を失わせる。国はどこまで、頬被り、知らん顔で過ごすのか。酸欠事故の犠牲者が出なければ、そのまま放置しておくのだろうか。

(丸山重威・ジャーナリスト、2020年6月5日号)

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