命と生活を守るため160兆円「真水」追加を
高橋伸彰|2020年6月27日3:39PM
その一方で、景気の悪化は止まらない。5月28日に政府が公表した「月例経済報告」でも、11年ぶりに「悪化」の表現が使われた4月に続き、基調判断は「急速な悪化が続いており、極めて厳しい状況にある」と据え置かれた。中でも、深刻なのは消費と雇用である。
5月29日に公表された各省の統計や調査をみても、4月の小売業販売額(「商業動態統計」)は全体で前年同月比13.7%減、うち百貨店は同71.5%減。4月の新規求人数(「一般職業紹介状況」)も全体で同31.9%減、宿泊業、飲食サービス業では同47.9%減、製造業でも同40.3%減と大幅に減っている。
4月の完全失業率(「労働力調査」)こそ2.6%と、アメリカの同14.7%と比較すれば低い水準に止まったが、日本特有の休業者(仕事を休んでいても賃金が支払われている雇用者など)は597万人と前年比420万人も増えた。就業者数も前年比80万人減、非正規の雇用者に限れば同97万人も減少した。
多くの企業は政府の雇用調整金などを活用し、何とか雇用を維持しているが、景気の悪化が長引けば休業者が職場に戻れず、「失業増に歯止めがかからなくなる恐れがある」と『日本経済新聞』(5月30日付朝刊)は警鐘を鳴らす。