命と生活を守るため160兆円「真水」追加を
高橋伸彰|2020年6月27日3:39PM
緊急事態宣言の解除に伴い経済活動は徐々に再開されているが、蒸発した需要、特に飲食・観光などのサービス需要は容易に戻らない。また、第2波、第3波の感染到来に備えて警戒が続く間は、需要の本格的な回復も望めない。
そうした厳しい日常の中で、資金不足に陥る企業の経営や収入減に苦しむ家計の生活を補償し、献身的な勤務で人命やライフラインを守る人々の仕事を支えるためには、惜しみない政府の対策が必要である。
「GDPの4割に上る空前絶後の規模」と安倍首相が豪語するなら、第1次と第2次補正を合わせてもGDPの約11%、60兆円にすぎない「真水(給付や補助などに充てる財政支出)」の規模を、さらに160兆円追加して名実ともにGDP4割の対策にしたらどうか。
100年に一度の感染と経済の危機に対し、小出しの対策を積み重ねるだけでは、人びとの命と生活を守り、企業の倒産を防ぎ、学生や児童・生徒の教育機会を確保し、医療や介護・福祉の崩壊を回避することはできないのである。
(高橋伸彰・立命館大学名誉教授。2020年6月5日号)