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新型コロナ、補償から排除される「ナイト産業」の人びと
神原里佳|2020年6月27日2:27PM
事情を抱える女性は給付金も申請できず
行政書士で中洲のナイト産業事業者との関わりも深い佐藤さんのもとへは、3月以降、解雇や収入激減で生活が困窮した女性からの相談が急増している。正規雇用ではなく業務委託契約で働くコンパニオンなどは、国が個人事業主に対して支給する持続化給付金の対象になるが、確定申告をしていないため申請できない人も多い。
なぜ確定申告しないのか。昼間の一般企業での収入だけでは暮らせず副業で夜の仕事をしている人や、事情があって家族に内緒で働いている人などは、確定申告すると夜の仕事がバレてしまうからだ。そのために給付金を受けられない人や、公的機関の貸付も受けられない人の最後の砦となるのが生活保護だが、佐藤さんによると、「車を所持しているからダメ」「他に頼れる人がいるだろう」などの理由で、窓口で追い返されてしまうケースが多いという。
佐藤さんはこうした「水際作戦」を阻止するため、窓口に同行する支援活動を続けている。遠方で同行できない人にも「窓口に行く際は必ず『申請に来ました』と言ってください。でないと相談扱いになり、申請書さえもらえない。申請に来たと言えば、行政手続法の規定により拒否できないことになっていますから」などとアドバイスする。
4月27日、佐藤さんは「ナイト産業を守ろうの会」として福岡市議会に請願書を提出。ナイト産業で働く人に対する補償その他の給付を行なうこと、金融機関の融資に関して風俗業の差別的取り扱いをやめることなどを求め、約400筆分の署名とともに手渡した。
だが、結果は不採択。自民党、公明党が「どの業種も困っておりナイト産業だけを優遇できない」などの理由で反対したためだ。佐藤さんは「優遇を求めているのではなく、他の業種と平等に扱ってほしいだけだ」と憤る。