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『愛媛新聞』を糾す市民団体発足へ

伊田浩之|2020年7月3日5:10PM

支社長から一社員に

阿部さんが異動理由を知ったのは今年1月。定年を控えた西原さんと食事をした際、経緯を記した文書を手渡されたからだという。

「文書を読み、怒りで眠れなくなりました。読者を励ましてきた『愛媛新聞』がいま、読者を腐らせている。近年そう感じてきた理由が氷解したのです。恣意的な人事がまかり通り、有能な記者が追いやられている。紙面の質が低下し、部数が減るのは当然。糾す会結成に走り出しました」(阿部さん)

愛媛新聞社に1988年に入社した筆者は、先輩の西原さんをよく知っている。取材を申し込むと、西原さんは「実は声を上げる考えはなかったが、『個人の問題ではない。支社長から“ヒラ社員”への降職を容認していると、情実人事が繰り返される恐れがある』と言われ、考えを変えました」。

西原さんによると、17年2月20日に宇和島支社長から役職がない本社読者部社員とする異動内示を電話で告げられ、17年4月1日に読者部に着任した。阿部さんの愛媛新聞社への電話は、着任から1カ月経たない異動直後だったのだ。

降職理由を説明しない愛媛新聞社に対し西原さんは19年3月、愛媛労働局長に「あっせんを申請」。愛媛新聞社は同年4月、代理人弁護士名で提出した「反論書」で降職理由を明らかにしたという。

愛媛新聞社関係者があきれる。

「社は支社長としての能力が欠如している理由として、(1)社長代理として参列した葬儀の会葬御礼を本社に送らなかった、(2)幹部社員が本社に集まる会議を私的理由で無断欠席、(3)新聞拡張の研修での非協力的な態度、をあげましたが、すべて些細な理由ですよね。
香典返しのタオルは長年の慣行にしたがい支社で使っただけ。会議欠席について西原さんは連絡したと言ってます。研修で販売店所長に『こういう研修は意味がない』と発言したようですが、その後、支社管内の所長と支社員の意見交換の場を設けるなど、“意味がある”拡張策に尽力してますよ。
要は、言うとおりに動かないとヒドい目に遭わせるぞと役員が社員を脅しているのです」

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