『愛媛新聞』を糾す市民団体発足へ
伊田浩之|2020年7月3日5:10PM
自由で多角的な紙面を
前述の第3回準備会には、西原さんも出席し、次のように話した。
「しっかりした記事を書いてきた記者が外される事例が続いています。同じ危惧を抱いている社員の代弁者として話をさせていただく。紙面劣化の証明は難しいけれども、発行部数は20万部を切るほど落ち込みました。取材力、構成力を要する大型連載企画が紙面から消え、新聞協会賞への応募すらしなくなっています」
阿部さんも危機感を募らせる。
「安倍一強を許す市民社会の質の低下にマスコミは加担してきました。マスコミのあり方を地元で問うことに意義があるのです」
糾す会規約(案)はこううたう。
〈権力をチェックし社会正義の実現を目指すのがマスコミの使命でありながら、最近の愛媛新聞はその矜持を捨て、権力に都合のいい情報を垂れ流す「広報」に凋落した。その背景にある社員の恣意的人事を正常化し、同時に県内・全国のマスコミのあり方をも問うことで、自由な言論と健全な市民社会をとり戻したい〉
愛媛新聞社は「個別の人事異動についてはお答えしていない。一般論として、業務の必要性のほか、個々の能力や経験、諸事情などを総合的に勘案し、慎重かつ公正に検討し昇進や降職を含め決定している」と回答。
糾す会から話し合いの申し入れがあった場合、誠実に対応するかとの問いには「立ち上げの動きを承知していない。従来、紙面への意見・提言には真摯に耳を傾けている」と答えた。
同紙からもし腐臭が漂っているなら、経営トップの責任は重い。
(伊田浩之・『週刊金曜日』編集部。2020年5月1日号を一部修正)