困窮者へのホテル提供打ち切りで吉住新宿区長、異例の謝罪
植松青児|2020年7月13日11:29AM
「ご利用者の皆様に対して、寄り添った対応が出来ていなかったことを、率直にお詫び申し上げます」
6月9日、東京都新宿区の吉住健一区長は同区公式サイトで謝罪を表明した。緊急事態宣言に伴うネットカフェの一時閉鎖などで住まいを失い、ビジネスホテルの部屋を提供された98人に対し、6月1日に強制チェックアウトさせたことの誤りを認めたのである。
東京都は今年4月から開始した緊急一時宿泊事業によるビジネスホテルの部屋提供を6月7日まで延長する方針を5月中にはすでに表明しており、これに対応して都内のほとんどの市区が提供期間を同日まで(その後さらに30日まで)延長していた。にもかかわらず、新宿区のみが5月29日、「ホテル利用は5月31日まで(チェックアウトは6月1日)」と記した文書を利用者に配り、98人をホテルから強制チェックアウトさせたのである(正確には98人をチェックアウトさせ、うち11人には生活保護制度等によって部屋を再提供)。
これに対し6月8日、困窮者の支援を行なう「新型コロナ災害緊急アクション」(以下、「緊急アクション」)が抗議文を区に提出した。すると翌日には吉住区長が前記の謝罪とともに「6月30日までホテルの部屋を提供」「6月1日以降、14日までで宿泊できなかった期間の宿泊料相当(1泊3500円)を支給」することを発表した。
いったい新宿区はどんな意図でホテル提供を打ち切ったのか。どこに根源的な誤りがあったのか。