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「60年安保闘争」から60年 
国会前で樺美智子さん追悼集会

三上治|2020年7月14日12:20PM

6月15日、国会南通用門前で開かれた樺美智子さん追悼集会。(撮影/金浦蜜鷹)

戦後最大の大衆運動とされる「60年安保闘争」の国会突入デモで、東京大学生だった樺美智子さん(当時22歳)が亡くなってちょうど60年後の6月15日、僕たちは当時の運動仲間たち約70人と国会前で追悼集会を開いた。

集会は毎年開いているが、今年は1960年から60年なので特別な感慨を伴っていた。一般には60年安保なんて忘れられたものとは言わないにしても、歴史の一齣にすぎないだろう。記号のようなものとして記憶されているにすぎない。

無理もない。時間の流れが速くなるなか、過去の事件にこだわり、それを記憶しておくことなんかできない時世である。それはあのアジア太平洋戦争も同様だ。

だが、僕らは宿命のようにそれを想起し、記憶を新たにする。いつのころからだろうか、紫陽花が好きになったのは。秋の曼珠沙華とともに僕の好きな花なのだが、この紫陽花をみると60年安保のことを想い出す。

トラックをバリケードにした防備体制を突破し、国会構内の警官との押しあいは息詰まるような持久戦だった。デモの最前列にいた僕らは警官の顔がよくみえた。この闘いは権力(岸信介首相)の所業へのノー、その意思表示だった。それは日本国民が初めて権力に対してなしえた意思表示だった。

日本には自由民権運動や大正デモクラシー、また戦後民主主義の運動があった。だが、それらには自由という精神、魂は乏しかったのではないか。権力に反逆する闘いのなかで、それは満ち溢れたものではなかった。精神の革命という言葉があったが、自由という魂の本格的な登場であり、闘いだった。これはその後も地下水脈のように存続してきたものだ。

僕らはこれを想起し、それへの思いを新たにした。多分、来年もまた。

(三上治・評論家、2020年6月26日号)

 

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