那覇地裁、臨時国会召集めぐり初判断
「招集は憲法上の義務」
佐藤和雄|2020年7月15日7:35PM
森友学園・加計学園問題を追及するため、野党が憲法53条に基づき2017年6月22日に臨時国会の召集を要求した。これに対し、安倍晋三内閣が98日を経過した同年9月28日まで召集しなかったのは憲法違反にあたるかどうかなどが問われた訴訟で、那覇地裁(山口和宏裁判長)は6月10日、「内閣は、臨時国会の召集決定について憲法上の義務を負う。召集しないという判断はできず、召集時期に関する裁量も大きくない」との判決を言い渡した。
憲法53条は後段で「いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と定める一方、召集までの日数については規定していない。臨時国会の召集決定や召集までの期間をめぐっては、これまでも議論になってきたが、司法判断は今回が初めて。原告は17年当時、沖縄県選出の野党国会議員だった4人。被告の安倍内閣は、衆議院の解散をめぐり1960年の最高裁判決で示された「直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、裁判所の審査権の外にある」という「統治行為論」を挙げて、「臨時国会の召集決定・時期は、高度に政治性を有するので、司法審査の対象外」などと主張してきた。
判決は野党議員の要求に基づく臨時国会召集は憲法上の義務と認め、「国会と内閣との均衡、抑制、協働関係が損なわれるおそれがあるので司法審査の対象とする必要性が高い」と指摘。統治行為論を退けた、画期的な判決と言える。