南北、一触即発の危機ひとまず回避
北が軍事行動計画「保留」
文聖姫|2020年7月16日4:56PM
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)がひとまず矛を収めた。6月23日に開催された朝鮮労働党中央軍事委員会第7期第5回会議予備会議で、朝鮮人民軍総参謀部が提起した韓国向け軍事行動計画を保留した。同会議は、朝鮮労働党委員長兼党中央軍事委員会委員長の金正恩氏が司会し、画像会議の形で行なわれた。
韓国の脱北者団体が5月31日に金正恩氏を非難するビラを散布したことをきっかけに、北朝鮮は韓国への批判を強めていた。6月16日には開城にある南北共同連絡事務所を爆破した。同事務所は韓国の文在寅大統領と金正恩氏との間で2018年4月27日に結ばれた「板門店宣言」に基づいて韓国が約170億ウォン(約15億円)を投じて建設したもので、文政権の対北政策の成果を象徴していた。
軍総参謀部が4項目の韓国向け軍事行動を計画していることも、17日発の「朝鮮中央通信」を通じて発表された。(1)金剛山観光地区と開城工業地区に軍部隊を派遣する(2)非武装地帯から撤収した民警哨所を再び設置する(3)前線警戒勤務のクラスを「第1号戦闘勤務体系」に引き上げ、軍事訓練を再開する(4)ビラ散布に有利な地域を開放し国民の韓国向けビラ散布を保障する――という内容だった。
北朝鮮は国営メディアを通じて、「韓国に散布するビラ」の写真も公表していた。
23日の予備会議で軍事行動計画が保留されたことで、ひとまず一触即発の危機は回避されたが、緊張が完全に緩和されたわけではない。朝鮮労働党中央委員会の金英哲副委員長は24日に発表した談話で、「脅しに聞こえるかもしれないが、我々の『保留』が『再考』になる時には愉快ではないだろう」と述べ、軍事行動計画が消滅したわけではないことを強調した。
今後の韓国の出方によっては、北朝鮮が再び挑発に出る可能性がある。
(文聖姫・編集部、2020年7月3日号)