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大阪市が新型コロナの感染防止対策の検証と見直し
岡田幹治|2020年7月20日3:06PM
新型コロナウイルス感染症について、大阪府が政府や他の自治体に先駆け、感染防止対策の検証と見直しを進めている。吉村洋文知事は、これまでの対策が経済・社会に大きな打撃を与えたことを反省し、第2波については打撃を最小化しながら効果的に感染を抑止する対応を目指している。
大阪府は政府の緊急事態宣言などに従って外出や営業の自粛を府民に求めたが、そうした対策の副作用はきわめて大きかった。
今年4月、全国の休業者(仕事を持ちながら、仕事をしなかった雇用者と自営業者)は前年同月より420万人も増え、全国のホテルなどの延べ宿泊者数は76・8%も減少した。4月の生活保護申請者数は大都市圏で急増し、大阪市では前年同月より37%も増えた。
同じ事態を繰り返すべきではないと考えた吉村知事は、6月11日に公開の大阪府新型コロナウイルス対策本部専門家会議を開催し、「K値」という指標を発案した中野貴志・大阪大学教授と、大胆な提言をツイッターで発信している宮沢孝幸・京都大学准教授から意見を聴いた。
中野教授によればK値とは直近1週間の類型感染者数の増加率を今日の感染者数を基準として評価したもの。時の経過とともに安定的になり収束に向かうが、その速度が国によって異なるので、その国がまだ危うい状態かどうか把握できる。4月に論文を発表すると、国際的に高く評価された。
中野教授はK値を使った分析に基づき、日本全体も大阪府も感染は3月28日にピークに達して収束に向かっていたとし、政府の緊急事態宣言に基づく外出や営業の自粛はデータを見る限り意味がなかったと述べた。
第2波対策としては、入国規制などの「水際対策」と「クラスター(感染者集団)対策」が有効だとし、K値を使って早期検知に努めるべきだと助言した。