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大阪市が新型コロナの感染防止対策の検証と見直し
岡田幹治|2020年7月20日3:06PM
【政府や業界の指摘も見直し 独自のガイドライン検討へ】
一方、宮沢准教授は、新型コロナウイルスはある程度の量がなければ感染しないが、空中を漂うウイルスの量はごくわずかなので空気感染は考えなくてよいと説明。政府のガイドラインではほとんどの業種について人と人との間隔を2メートル(最小1メートル)開ける「ソーシャル・ディスタンス」を求めているが、夜の繁華街や飲食店での飲み会、カラオケなどで騒ぐと唾液が飛んで感染するのが危険なので、それをやめさせれば感染しないことなども述べた。
安倍晋三首相は「接触機会を最低7割、極力8割減らす」よう求めたが、減らすのは「接触機会ではなく、感染機会」というわけだ。
2人の説明を受けた吉村知事は今後の対応について、経済・社会への打撃をできるだけ少ないものにする考えを明らかにした。具体的には、営業の自粛はできるだけ求めず、求める場合でも一律ではなく業種などを限る、また外出の自粛も全員ではなく高齢者などリスクの高い人たちを中心にするなどの方法を検討するとみられる。
ソーシャル・ディスタンスについても、政府や業界のガイドラインが正しいかどうか見直し、経済・社会への影響も考慮した独自のガイドラインを検討する。
K値の考え方を取り入れてまず見直したのが、休業を要請したり解除したりする際の基準である「大阪モデル」だ。
22日の専門家会議で決まった新基準は、(1)感染経路が不明な新感染者が直近1週間で前の週と同数以上になったうえ、1日平均5人以上、(2)直近1週間の新感染者が計120人以上になり、4日間増え続けている――の両方が満たされた時「警戒(黄)」とし、さらに(3)重症者用の病床使用率が70%以上となると「非常事態(赤)」とするものだ。
吉村知事については、独自の「大阪コロナ追跡システム」や、大阪大学と創薬ベンチャー・アンジェスが開発中の「大阪産ワクチン」の治験をめぐる前のめり発言などに疑問や懸念が出されてきた。今度の見直しの結果が注目される。
(岡田幹治・ジャーナリスト、2020年7月3日号)