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大阪「フジ住宅」レイハラ訴訟で原告側勝訴

中村一成|2020年7月28日4:14PM

【判決には問題点も】

「心の痛みを汲み取ってくれたと思う。この判決を貰って、信じてよかったと。今やったらまだ、日本の社会にも、希望を一緒に叶えてくれる人がきっといると思って一歩二歩踏み出して、先生(弁護士)たちとも、みなさん(支援者)とも出会えた。ちょっと希望を確信に変えることができた。この成果をいかに広げていけるか」

コロナ禍でZoom開催の報告集会。それでも集まった約30人の支援者を前に原告は語った。そこには喜びと同時に明日からその会社で働く彼女のリアルがあった。

「職場で差別的言動に晒されない権利」を裁判所が認めたことは大きな前進だ。労働事件としては「満額回答」で、判決は今後の武器になるだろう。会社側は控訴を表明し、闘いは高裁に移る。

だが問題もある。地裁は原告を名指しした差別ではないなどとして被害を過小評価した。属性への攻撃だからこそ広く甚大な被害を与えるのが差別でありヘイトスピーチなのだが、その本質に裁判官は向き合わなかった。ヘイト塗れの職場で働く彼女の恐怖への想像力も感じられない。ここを突破することが次の目標だろう。

そして見えた課題は裁判制度の限界だ。時間的・経済的負担はもちろん相手の主張という差別言説と向き合う原告の精神的負担は大きすぎる。まして職場に留まった彼女の心労はいかほどか。迅速で負担の少ない救済制度が必要だ。

(中村一成・ジャーナリスト、2020年7月10日号)

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