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夫婦別姓訴訟、東京高裁で控訴審開始 
司法の使命問う意見陳述

坂本洋子|2020年8月3日11:51AM

2019年11月、東京地裁立川支部判決時に会見した一審の原告ら。(撮影/宮本有紀)

夫婦別姓を認めない民法などの規定は憲法違反として東京都内の男女10人が国を訴えた裁判(原審は東京地裁立川支部。昨年11月に原告請求棄却判決)の控訴審第1回期日が7月2日、東京高裁で開かれた。原告側代理人の川尻恵理子弁護士が控訴理由を述べた後、原告3人が意見陳述を行なった。

川尻弁護士は控訴理由として、(1)夫婦同士が婚姻の成立要件、(2)民法と戸籍法の規定が憲法14条1項および24条に違反、(3)日本の法令と状況が女性差別撤廃条約および自由権規約に違反、(4)立法不作為が国家賠償法違反――という4点を挙げ、国側代理人や裁判官に対し次のように述べた。

「私たちはこの訴訟に必ず勝ちます。なぜならそれが世界の常識だからです。生存権が社会の常識となったように、プライバシー権が社会の常識となったように、どちらかが自分の氏を変えることなく結婚をすることができることが、やがてこの国の常識になります」

また、川尻弁護士は「私たちの中には、法務省も含まれています」として、法務省がすでに1996年には選択的夫婦別姓制度を導入すべきとの結論に至っていることを指摘。さらに「裁判官こそがこの社会を変える力を持っており、その判断によってあるべき社会をもたらすことを使命としている」とも続けた後、「結婚をしたいと望むすべての人が結婚することができる、誰もが幸せな社会です。 私たちは、その社会を導いた者たちとして歴史に残ることとなるでしょう」と締めくくった。

民事行政を経験した元裁判官の川尻弁護士は、法務省が民法改正を試みたものの、政治に阻まれてきたことを知り尽くしていた。陳述は、法務省や裁判所に職責を果たせ! と叱咤激励しているようでもあった。

控訴審は初回で結審し、判決言渡しは、10月23日13時30分から同高裁101号法廷で行なわれる。

(坂本洋子・ジャーナリスト、2020年7月10日号)

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