処方箋が違う政府の新型コロナ対策
鷲尾香一|2020年8月6日5:15PM
政府は新型コロナウイルスへの対策として2回の補正予算を編成した。その予算規模について安倍晋三首相は、「空前絶後の規模、世界最大の対策で、100年に一度の危機から日本経済を守り抜く」と胸を張った。
確かに、政府の一般会計の歳出増加額(いわゆる真水)は2回の補正予算で57.6兆円に上る。
その財源は建設国債が11.6兆円、特例国債(いわゆる赤字国債)が46兆円で賄われる。
2020年度の国債発行額は、当初予算と合わせて過去最高の90.2兆円(建設国債18.7兆円、特例国債71.4兆円)と巨額の赤字国債が発行されることになる。
公債依存度(一般会計歳出額の財源のうち国債発行の割合)は第2次補正予算後では56.3%にまで跳ね上がる。
つまり、国の歳出額の半分以上が国債という借金によって賄われ、20年度の国債発行残高は初めて1000兆円を突破する。
もちろん、新型コロナという“疫病”には、財政出動という“薬”が必要だ。そして、効果が出るまで、何度でも薬を処方(補正予算を編成)したほうが良いのも言うまでもないことだ。
新型コロナの感染拡大による経済機能停止が国民生活の危機を招いたことで、“赤字国債”の発行が容認されやすくなり、さらには日本銀行が金融緩和策として「国債買い入れ枠を無制限に拡大」したことで、事実上の“財政ファイナンス”が可能となった。
加えて、日銀の金融緩和政策によって、国債の金利は0%に近い超低金利に抑え込まれ、巨額の国債発行を行なっても、政府の金利負担は抑え込まれている。