コロナ対策で進む電子マネーが気にくわない
2020年8月12日10:24AM
アイザック・アシモフはSFの生みの親の一人だ。特にロボットものを得意としていた。ロボットという言葉を世界に普及させたのは、アシモフである。鉄腕アトムが忠実に守る「ロボット三原則」もアシモフが設定したものだ。
そのアシモフ先生が、人間とロボットがさまざまなかたちで絡み合う長編作品を書いている。何巻にも及ぶ一大ロマンだ。その中に、とてつもない「ソーシャル・ディスタンス」を保って生活している人々が出てくる。彼らの先祖は地球人類だが、他の星に移住して久しい。ロボットにかしずかれて生きている。
ロボットに面倒をみられ過ぎて、彼らはすっかりひ弱になり、感染症に弱い。だから、基本的にリモート方式でしかお互いにお付き合いしない。オンライン化が極めて進んでいて、誰もが誰のところにでも、ホログラムと化して出かけていく。
そんな彼らのもとに、ある日、人間たちが生身で付き合い、密集している別の星から、尋ね人がやってくる。そして、人が人に接触しないこの世界を変えようとする。我々も、やがてホログラム社会に移行するのか。そしてロボット依存症に陥るのか。フェイはいいが、こっちは怖い。
(浜矩子・エコノミスト。2020年6月26日号)