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腹を決めた二階幹事長と石破元幹事長

佐藤甲一|2020年8月12日9:13AM

 コロナ禍を経て、安倍政権に対する国民の信頼は失墜した。給付金をめぐる第1次補正予算案の組み替え、検察庁法改正案の今国会での成立見送りは、世論の声が「安倍一強政治」を突き崩した。自民党でも野党でもない、国民の力である。一方で、緊急事態宣言下で、政府とは異なる独自の自粛解除に踏み切った大阪府の吉村洋文知事が脚光を浴びるなど、新しいリーダーの出現を期待する空気も醸成されつつある。

ロシアとの北方領土交渉、北朝鮮による拉致被害者の救済など、安倍政権の重要政策は今になっても何ら進展を見ない。新型コロナウイルスの問題で「アベノミクス」も吹っ飛んだ。安倍首相延命のための「よすが」として残っているものは来年の東京オリンピック開催とトランプ米大統領との個人的関係くらいだろう。だが、そのふたつも今年10月から11月にかけて「風前の灯火」となりうる。東京オリンピック中止、もしくはトランプ氏落選となれば、安倍首相に退陣を求める声は自民党内からも大きくなるだろう。

安倍政権のもと権力闘争を避けたがゆえに、自民党は「自浄能力と活力」という党の健全性が失われ、官邸権力は腐敗した。二階氏、石破氏ともに自民党竹下派を国政での出発点とした。安倍首相との距離が指摘される菅義偉官房長官もその政治の師は竹下派の重鎮だった梶山静六氏といわれる。この三者が「竹下派の逆襲」と揶揄されることなく「ポスト安倍」に乗り出すには、「アフターコロナ」の新しい政治像を打ち出すことが必要だろう。

永田町や霞ヶ関の一部が主導する政治は、もはや国民に見向きもされまい。いまだそれに気がついていない「安倍政治」を支え続ける自民党だとしたら、もはや「国民政党」の看板は下ろした方がいい。

(佐藤甲一・ジャーナリスト。2020年6月19日号)

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