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ツイッターデモは民意を示す新しい方法
長谷川綾|2020年8月12日9:58AM
見逃せない点は三つ。まず、原告側の調べで、他に少なくとも市民7人が道警の排除や妨害を受けていた。「年金100年安心プランはどうなった?」というプラカードを掲げようとした女性は警官数人に阻まれた。3日後の7月18日には滋賀県大津市でも首相に「安倍やめろ」とヤジを飛ばした男性が警官に排除された。
警察庁警備局長は6月26日の都道府県警の長向け通達で、要人警護の際「社会に対する不満・不安感を鬱積させた者」の警戒強化を求めており、全国で政権批判を封じた疑いがある。
第二に、道警は排除の法的根拠を、事件を最初に報じた昨年7月17日の『朝日新聞』では、「公職選挙法の『選挙の自由妨害』違反になるおそれ」としていた。しかし、判例で「演説妨害」に肉声のヤジは含まれないと指摘されると「公選法違反」を引っ込めた。7カ月もたった今年2月、周囲の首相支持者と「小競り合い」が発生しそうな状況で、警察官職務執行法4条に基づき大杉さんを「避難」させ、5条で「制止」したと言い始めた。
第三に、現場には多くの聴衆や記者がいて、事件を目撃しながらだれも警官をとがめなかった。『朝日』が報道するまで、どこも正面から報じなかった。
引きこもりの人や生活保護受給者らの相談を受けるのが仕事の大杉さんは、声を上げられない人を救う福祉政策の不備を痛感し「首相を支持しない人間がここにいる」ことを示そうとしたという。学生だった女性が声を上げたのは、大杉さんが排除されるのを見て「反対の声がなかったことになる」と危機を感じたからだ。そして番組を見た笛美さんが1人でデモを始めた。
HBCの山崎裕侍報道部編集長は言う。「警察という巨大組織を批判するのは勇気がいるが、おかしなことに声を上げる大切さを伝えたかった。ヤジは排除された。でもSNSで小さな抗議の声が大きな固まりになって、国を動かした。民意を示す新しい方法だ」
(長谷川綾・『北海道新聞』記者。2020年6月26日号)
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