近づく「大失業時代」
鷲尾香一|2020年8月14日7:26AM
雇用が大幅に悪化している。新型コロナウイルス感染拡大防止のための休業要請、外出自粛は「大失業時代」を産み出すことになりそうだ。
総務省の5月労働力調査(季節調整値)によると、労働力人口(就業者と失業者の合計)は前月比21万人増加した。4月が同99万人の減少だったことを考えれば、労働力人口の増加を喜ばしいことと思うかも知れない。
だが、そのうち就業者は同4万人の増加にとどまっており、就業者のうち雇用者数は同27万人も減少、完全失業者は同19万人も増加し197万人となった。一方で非労働力人口は同21万人減少した。
では、なぜ非労働力人口が減少し、労働力人口が増加したのに、完全失業者が増加したのか。
仕事探しをしておらず、失業者と見なされずに非労働力人口にカウントされていた分が、5月の緊急事態宣言解除を受け、仕事探しを始めたことで失業者として顕在化したためだ。
非労働力人口の同21万人減少と完全失業者の同19万人増加という数字を見れば明らかだ。
この結果、5月の完全失業率は2.9%と前月比0.3ポイント上昇し、3カ月連続悪化した。
さらに、就業者のうち雇用者数は同27万人も減少しているのに、就業者は同4万人の増加となっているのはなぜか。
それは、「自営業主・家族従業者」が大幅に増加したからだ。自営業主・家族従業者は雇用者ではない。仕事を失った人が、フリーランスなどギグワーカーとして働くようになったためだ。
ギグワーカーとは、一つの会社に縛られず、複数の仕事を自由に、必要なだけ働く人を指す。自営業主・家族従業者の実数は5月に前月比で33万人も増加している。
だが、自営業主・家族従業者は雇用者のように定期的に収入が約束されているわけではない。収入は非常に不安定だ。