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「カモ日本」はトランプ再選の片棒を担ぐのか

西川伸一|2020年8月16日4:00PM

前回16年大統領選挙では、クリントン氏の優勢が伝えられながらトランプ氏が当選した。クリントン氏は総得票数ではトランプ氏を280万票上回った。だが肝心の獲得選挙人数で及ばなかった。

さらに前回大統領選挙には、13 年6月に連邦最高裁が言い渡した1965年投票権法に対する違憲判決も影響したと思われる。この法律は選挙制度の人種差別的な方向への改悪を阻止してきた。しかし、連邦最高裁は人種問題の改善により、投票権法による保護はもはや現状を反映していないとして、その一部規定を違憲とした。

その後、共和党が優位にある少なくとも15の州で「有権者身分証明法」が制定された。投票時にパスポートや運転免許証など公的機関発行の写真付き身分証明書を提示させ、本人確認を過度に厳格化したのだ。これらを持たない有権者は、黒人や若年層、低所得者層など一般に民主党支持層に多い。

その上、黒人有権者の多い地域では投票所の数の削減まで行なわれた。「黒人人口が三割を占めるノースカロライナ州ギルフォード郡では、二〇一二年には一六カ所設置された投票所が一六年には半分以下に減らされた」(兼子歩「アメリカ政治を変える黒人女性たち」『世界』19年2月号)。BLM(Black Lives Matter)運動が広がる一因にはこうした背景もある。

最悪の事態は権力者が起死回生の常套手段である戦争に打って出ることだ。危機を演出することなど朝飯前である。戦時大統領となれば支持率は跳ね上がる。そして、戦闘機105機しめて約2兆4800億円を買わされた「カモ日本」は、「世界で最も危険な男」の再選の片棒を担がされよう。

(西川伸一・明治大学教授。2020年7月17日号)

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