木更津にオスプレイ配備
駐屯地前では抗議集会
新藤健一|2020年8月17日2:34PM
防衛省が米国から購入したオスプレイの1号機が7月10日、千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地に到着し、陸自に引き渡された。オスプレイはコロナ禍のドサクサに紛れて今年5月、輸送船で山口県の岩国基地に到着していた。当初の木更津到着は7月6日の予定だったが、梅雨の悪天候により二度延期された。
防衛省は南西諸島の防衛と離島奪還を任務とする「水陸機動団」の輸送を担うオスプレイを、長崎県佐世保市の陸自相浦駐屯地に近い佐賀空港に配備する計画だった。だが地元漁業関係者との協議が難航、膠着状態が続いている。
そうした中で昨年12月、木更津市議会があっという間に受け入れの期間を5年とする意見書を採択し、防衛省に提出すると、同市の渡辺芳邦市長は「期間を明らかにしなければ判断できない」との前言を翻して、陸自木更津駐屯地に5年間の暫定配備案を承認した。
オスプレイの取得費は1機あたり約102億円。17機で約1734億円になる。20年間の維持管理を含めると総額は6650億円になる高い買い物だ。
7月10日、渡辺市長は記者会見で「市民の安全、安心を第一に考え暫定配備後の推移を注視していきたい」と慎重に言葉を選んで発言していた。
【「恒久配備」化への懸念 「東京湾大事故」の危険性も】
一方、木更津の「オスプレイ来るな いらない住民の会」は7月の6日、8日、10日の3日間、駐屯地前の海岸で抗議集会を開き、約150人が参加。9日には安倍晋三首相と河野太郎防衛大臣あてに約24万筆の配備反対の署名簿を提出した。
「住民の会」事務局長の野中晃さん(80歳)は「防衛省は木更津駐屯地の場周経路(離着陸する飛行機の飛行標準経路)は海側だから大丈夫だと言うが、実は東京湾そのものが日本経済を支える物流の心臓部。事故が起きたら大変なことになるのは明らか。そこは化学、電力、天然ガス、石油コンビナートなどが集中する重化学工業地帯なのです。また木更津駐屯地周辺はかつて漁業が中心だったが現在は住宅地として発展、基地の前には保育園もあり危険だらけ」と事故の危険性と暫定配備が恒久化することを心配する。
(新藤健一・フォトジャーナリスト、2020年7月17日・24日合併号)