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1000億円超の「クールジャパンマネー」にも電通
佐々木実|2020年8月17日9:11AM
それがよくわからないのだ。著者はそのカラクリを指摘している。
〈経産省が懸命に整備に努めた「クールジャパンツール」は、官民ファンドは「民間企業」、間接補助金は「民間事業」と位置付けられるため、民間であることを盾に情報公開を拒否できるよう設計されています〉
「民間事業」であることを盾に、経産省は情報公開請求に徹底して非協力的で、実態解明を阻む。自らが起草した法律に基づく官民ファンドや基金設置法人と結託する経産官僚は、クールジャパンマネーを湯水のように乱費しながら、「公文書は存在しない」などとシラを切り通している。
「官から民へ」「民から闇へ」の構図は、コロナ対策の持続化給付金で、経産省が電通やパソナなどに不透明な形で民間委託した問題と酷似する。実際、クールジャパンマネー問題を追及した本書にも電通の名前がでてくる。
持続化給付金問題が発覚する前、コロナ対策の「Go To キャンペーン」予算を独り占めしようとしていた経産省は、これを「官民一体型の需要喚起キャンペーン」と呼んだ。“官民一体型”――闇へと消えたクールジャパンマネーを想起させる呼び名である。
安倍晋三政権下で霞ヶ関での経産省の影響力は増したといわれている。だが、ヒロ・マスダ氏の執念の調査はむしろ、この役所が腐食の度を増していることを明らかにしている。
(佐々木実・ジャーナリスト。2020年7月17・24日合併号)