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「報ステ」問題引き金か テレビ朝日労組が民放労連脱退

岩本太郎|2020年8月26日10:48AM

【最大単組脱退で財政問題も?】

が、改めて本誌からも直撃した民放労連委員長の高木氏は「主な理由はあくまで組合費などのほうなんですよ」と困惑気味に言う。「報ステ」集会宣言の件が最終的な脱退の引き金になったのは確かだが、テレ朝労組とは組合費負担の高さをめぐって以前から交渉を重ねており、それがまとまらずに先方もやむなく脱退の道を選んだというのが真相だと説明する。

他にも労連大会での「基本的に労使協調路線でいきたい」「政治的な主張、思想的な主張は控えて、現実的な路線の話し合いを」などの発言も関係者から反発を招いた節がある高木氏だが、組合員減少傾向が続く中、昨今の若い組合員たちの政治アレルギーを払拭したいとの思いが強いようだ(ちなみに同氏の父はかつて日本テレビで初の社員生え抜き社長を務めた故・高木盛久氏。労務でも苦労した父親の背中を見て育った経験も背景にあるかもしれない)。

実のところ今回の脱退劇は民放労連には財政面でもショッキングな事態だ。同労連加盟の組合員数のうち会社規模の大きい在京キー局労組員が必然的に多数派となるのは言うまでもないが、特に高木氏のTBS労組とテレ朝労組は、ほぼ「唯二」のユニオンショップ(全社員が組合加入)単組。その一方が抜けたことによる財政面への影響は計りしれない。

テレ朝労組の広報担当に問い合わせると、前記『朝日新聞』が報じた脱退理由はその通りで「労働環境の改善とは関係が薄い、政治的な決議に対して長時間割かれているといった現状」があり、そうした決議に「何度も異議を唱え、見直しを求めてきましたが、改善されることはありませんでした」との回答。一方、先の集会や集会宣言がテレ朝の経営陣を激怒させ労組に抗議をした、労連脱退は集会への報復だったなどの指摘には「全て事実と異なります」「経営陣から集会に対して何も言われておりません」とのことだった。

かつて民放テレビ界の発展とも軌を一にするかのように活発化した日本の放送局労組運動だが、テレビ広告費の減少や組合員の意識変化の中で今や曲がり角にさしかかりつつある。テレ朝労組脱退劇は、その象徴的なケースとして捉えることもできそうだ。

(岩本太郎・編集部、2020年8月7日・14合併号)

 

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