東海第二原発差止訴訟・結審
首都圏壊滅事故の危険性を強く主張
北村賢二郎|2020年9月3日11:09AM
約8年にわたる東海第二原発差止訴訟が7月2日に水戸地裁(茨城県)で結審しました。
この訴訟は、地震、津波、火山などの自然災害に対する安全性を欠くこと、基準地震動が過小であること、運転開始から40年以上経過した老朽原発であること、避難対象人口が多く避難は非現実的であることなど、一つだけでも原発を止める十分な理由となる争点をフルスケールで主張した充実した訴訟となりました。
原告団はこれまでの主張の総まとめとなる最終準備書面を提出し、裁判官に向かって、直接最終陳述を行ないました。
まず、河合弘之弁護士が、東海第二原発での重大過酷事故は首都圏を壊滅させるものであって、健康で文化的な生活や幸福追求権といった憲法的な価値を根底から突き崩すと指摘し、裁判官も当事者として差し止めの判断をするべきことを強く訴えました。
次に鈴木裕也弁護士が、実際に福島原発事故が原因で「原発さえなければ」との遺書を残して自殺した福島県相馬市の被害者がいたことを伝え、原発事故の重大性を再度喚起したうえで、東海第二原発の再稼働による人格権侵害の具体的危険の有無が深層防護の徹底にかかっていること、そして裁判所の審理判断すべき焦点であることを陳述しました。