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出入国管理法改悪案、今秋の臨時国会に提出か

市来伴子|2020年9月3日11:39AM

今秋の臨時国会に、「送還忌避罪」「仮放免逃亡罪」の新たな罰則の創設などを盛りこんだ出入国管理法の改悪案が提出されようとしている。罰則の新設を提言したのは、2019年10月に設置された「収容・送還に関する専門部会」(以下、専門部会)だ。

この専門部会の設置は、全国的に広がった入管施設内におけるハンガーストライキに端を発する。長期収容に耐えかねた被収容者が仮放免を求め一斉にハンガーストライキを決行したのに対し、出入国在留管理庁は適切な対応を行なわず、大村入国管理センターに収容されていたナイジェリア人の男性が19年6月に飢餓死する最悪の事態に至った。

この事件を契機に、「送還忌避者の増加や収容の長期化を防止する方策やその間の収容の在り方を議論・検討する」との目的で専門部会が設置されたが、10回に及ぶ審議は制度緩和ではなく、さらなる厳格化の方向で議論がなされ、6月に提言書が公表された。

以下、主な問題点を述べたい。

専門部会は、「送還忌避罪」の創設理由について送還忌避者の増加をあげるが、根拠となるデータは示されていない。そもそも外国人の非正規滞在者は、1993年の29万8646人をピークに減り続けており、近年微増しているものの、今年1月1日現在で8万2892人とピーク時の約28%まで減少している。

一方で、国外退去を命じる「退去強制令書」の発布数は2014年の5821件に対し18年には8865件と約1・5倍に増加している。送還忌避者の増加があるとすれば、安倍政権による「速やかな送還」の方針の下に「退去強制令書」の分母が増えているからにすぎないのではないか。

さらに、「送還忌避罪」の対象範囲にも懸念がある。たとえば、オーバーステイの両親のもと日本で生まれ育った子どもが処罰の対象となる可能性がある。子どもは送還されるべきでなく、罰則が科されることがあってはならない。

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