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モーリシャス沖日本船座礁・重油流出で生態系に重大危機
井田徹治|2020年9月4日1:33PM
インド洋の島国モーリシャス沖で、日本の長鋪汽船(岡山県笠岡市)が所有・管理し、海運会社の商船三井(東京都港区)がチャーターした貨物船が座礁し、大量の燃料油が流出した。生物多様性が豊かな場所で起こった最悪の事故といえる。「環境緊急事態宣言」を発令したモーリシャス政府は長鋪汽船などに損害賠償を請求する方針を公表。日本政府の行動にも厳しい目が注がれることになりそうだ。
世界には他地域に比べて生物多様性が非常に豊かである一方、生態系破壊も進んでいて緊急の保護が必要だとされる「生物多様性のホットスポット」と呼ばれる場所が36カ所ある。モーリシャスも「マダガスカルおよびインド洋諸島」としてセイシェル、コモロなどとともに、その一つとされている。
事故はそのモーリシャスの南東部の海岸地帯で発生、すぐ近くには、ポワント・デスニーとブルーベイ海洋公園という二つのラムサール条約の登録地域がある。絶滅の恐れがあるアオウミガメや多くの海洋生物のすみかとして重要で、世界中で減少が著しいマングローブ林なども残っている。
生物多様性条約事務局によると、モーリシャスの海には17種の海洋哺乳類と2種のウミガメを含む約1700種の生物が生息する。2008年には観光業がGDP(国内総生産)の8・7%、漁業1・3%を占めるなど、海の環境は人々にとっても重要な資産だ。