東京入管、被収容者コロナ感染も3密状態に改善なし
樫田秀樹|2020年9月4日1:55PM
8月11日、在留資格のない外国人を収容する出入国在留管理庁の東京出入国在留管理局(東京入管、東京都港区)の前で「コロナの対策してないぞ!」「収容やめろ!」とのシュプレヒコールが響いた。
その4日前の8月7日、東京入管は被収容者Aさん(50代男性)が新型コロナウイルスに感染したと発表した。約14カ月も長期収容されているので、通勤している職員からの感染が考えられるが、今後の課題は、3密空間とも言える収容施設での感染拡大予防にある。今回の感染は数カ月も前から予測されていたのに、東京入管が事前対策を打っていたとは思えないからだ。
収容施設は6畳間に3、4人が同居し、1日6時間の自由時間以外はその3密状態で過ごす。コロナ禍が叫ばれた3月以降に東京入管は仮放免(一時的に収容を解く措置)を出すようになり、収容人数も1年前の約450人が約200人まで減った。しかし、なぜか長期収容されている人ほど仮放免されず、いまだに1部屋に複数人が暮らす形態は変わらない。
Aさんは昨年8月に意識朦朧となり倒れ、以後、左半身機能が低下。車いす生活を余儀なくされている。だが、仮放免も外部の病院での専門治療も実現しないのだ。
そこで事態の改善を訴えるために市民団体SYI(収容者友人有志一同)や個人有志が同日、東京入管前で冒頭の訴えをしたわけだが、個人参加の葉山慧さんは「国の組織が税金で被収容者をいじめる現実にじっとしていられなくって」と「仮放免を」と書いたプラカードを掲げ続けた。
SYI代表の柏崎正憲さんは「被収容者全員にPCR検査を実施し、陰性の人は即時に仮放免を、感染者は隔離・治療したうえで仮放免すべき」と訴え、改善を訴える要望書を東京入管の総務課職員に手渡した。改善は実現するのか、注目しなければならない。
(樫田秀樹・ジャーナリスト、2020年8月21日号)