「機動隊の沖縄派遣」住民訴訟
警察の違法性を徹底追及
田沢竜次|2020年9月8日12:32PM
「警視庁機動隊の沖縄への派遣は違法・住民訴訟」の控訴審が9月下旬から始まる。一審判決(2019年12月・東京地裁)では警察が違法な行為をしたことは一部認められたものの、機動隊の派遣自体は適法であったとして、原告の主張は退けられた。原告団は直ちに控訴。高裁であらためて派遣の違法性を問うことになった。
振り返ると16年7月、沖縄本島北部の東村高江での米軍ヘリパッド基地建設を強行するため東京(警視庁)など6都府県から機動隊が派遣され、反対住民や支援者を暴力的に排除、逮捕者や負傷者が続出した。この暴挙の違法性を裁判で明らかにするため184人の原告団が住民訴訟を提起した。
控訴審を前に原告団の呼びかけによる街頭アピール行動が7月23日に東京・新宿駅西口で行なわれた。スタンディング&リレートークに続き、西口地下に場所を移してパブリック・ビューイング(映像の中継)も行なわれ、通行人の注目を集めた。8月1日には「警視庁機動隊の沖縄派遣は違法 控訴審に向けて」学習会が三鷹市市民協働センターで開催された。
弁護団の高木一彦弁護士は、控訴審の争点を次のように説いた。地裁において「警察官の職務行為が必ずしも全て適正に行なわれていたと言えない」と疑問を呈しているところが攻めどころである。特に車両とテントの強制撤去の違法性の問題を認めさせるために、警視庁の証人(当時の沖縄県警警備部長、公安総務課長)を採用させることが不可欠だ、と。
ただし一審では警視庁の証人は採用されていない。このハードルを越えるために高裁への要請ハガキ運動も呼びかけられている。学習会では沖縄から土木技術者の北上田毅さん、愛知と福岡で住民訴訟を闘う方々からリモートで発言がなされた。控訴審は9月25日15時から(傍聴券公布は30分前)東京高裁101号法廷で開かれる。
(田沢竜次・フリーライター、2020年8月21日号)