子宮頸がんワクチン被害者ら厚労相に意見書
「接種勧奨」の動き警戒
岡田幹治|2020年9月18日3:48PM
【新型コロナ治療薬の特例承認にリスク】
HPVワクチンは13年6月、疼痛などの訴えがあったことを理由に厚労省が「積極的な接種勧奨を差し控える」通達を出し、接種率は1%に激減した。それから7年、通達をないものにしようとする動きが強くなっている。伊藤さんが加藤厚労相に手渡した「意見書」が問題にしたリーフレットの改訂案は、そうした動きの一つだ。
改訂案は全体にHPV感染と子宮頸がんの関係を正しく伝えていないうえ、HPVワクチンの有効性は過大に、副反応は過小に記載した不適切なものであり、「情報提供を装ったアンフェアな接種の勧奨」だと、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団・弁護団はみて、撤回を求めている。
一方、同日15時から17時半までオンラインで開かれた集会には約270人が参加した。そこで隈本邦彦・江戸川大学教授が取り上げたのは、新型コロナ騒動の中で治療薬やワクチンの開発が政治主導で急がれている問題だ。
新型コロナ治療薬について厚労省は製薬企業が行なう治験ではなく、臨床研究のデータでも承認できるようにした。緊急時の特例承認制度を活用し、抗ウイルス薬のレムデシビルは通常なら数カ月から1年かかる承認手続きをわずか3日で終えた。これについて隈本教授は「長年積み上げられてきた安全性確保の取り組みがないがしろにされている」と批判した。
各地からのリレートークでは、HPVワクチン薬害訴訟全国原告団代表の酒井七海さん(24歳)が3月に大学を卒業したが、就労は難しく、大学院で社会福祉の研究をしているなどと報告した(代読)。
(岡田幹治・ジャーナリスト、2020年9月4日号)