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維新の執念、11月再び住民投票 
住民分断する「大阪都構想」

粟野仁雄|2020年9月25日6:43PM

【「押しつけ住民投票」か】

大阪都構想は10年に、当時の橋下徹大阪府知事が「大阪維新の会」(以下「維新」)を結成した際「大阪は府と市の二重行政による不幸せで衰退していた」と訴え、「日本の副首都としての役割を担う」構想は党のスローガンとなった。維新以外はすべて反対だったが、公明党は現職衆議院議員のいる4小選挙区で「維新の候補を立てる」と橋下氏に脅され「構想には反対だが投票自体は賛成」に転じた。

15年5月の住民投票では賛成69万4844票、反対70万5585票の僅差で否決されて廃案になり橋下市長は辞任した。ところが維新は同年11月のダブル選挙で松井氏が大阪府知事、吉村洋文氏が大阪市長に当選。ここで勢いを得ると「勝つまでじゃんけんか」との批判をよそに特別区数を5から4に減らすなどの修正案を出してきた。知事と市長の候補を入れ替えた昨年の統一地方選で維新が圧勝すると、公明党は賛成に転じた。

自民党は一貫して反対を訴えているが、コロナ対策で維新が勢いづくと、不安になった府議から賛成派が出てきた。市議会では北野妙子市会議員団幹事長のもと団結して都構想に反対。同党大阪府連(会長・大塚高司衆院議員)も9月5日に都構想反対を決議した。

一方、立憲民主党は4日に「大阪市廃止分割対策本部」を発足させた。辻元清美衆議院議員は会見で「たまたま大阪は府と市の名前が一緒だけど、もし神戸市をなくしますとか、横浜市をなくしますとかになったら大変なことになるでしょう」。都構想では大阪市の豊富な財源が府に吸い上げられることも懸念されており、辻元氏も「(東京では)世田谷区に楽天が進出しましたが、法人税は区に1円も入らず全部都に吸い上げられるそうです。都構想が良いことばかりなら横浜や名古屋など他の政令指定都市でもやっているはず。全国から反対運動を盛り上げて大阪市民に反対に投じるように訴えたい」などと語った。

「うがい薬」の失敗はあったが、迅速なコロナ対策や小学校の給食無償化の前倒し実施などが評価されてきた吉村知事は、二言目には「民主主義の基本の住民投票を行なう重要性」を語る。だが、この住民投票は原発反対や辺野古基地反対のように市民から湧き上がった結果ではなく、橋下氏や松井氏、吉村氏ら行政トップ主導による。辻元氏は「一部の人による押しつけ住民投票」と強調。同席していた尾辻かな子衆議院議員も3日の会見で「私の選挙区でも天王寺区民になりたいなんて誰も言ってません。コロナで心を一つにして頑張る市民を分断させる投票の強行に怒りを感じます」と話していた。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2020年9月11日号)

 

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