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痛み想像できぬ「Go Toトラベル」立案者
浜矩子|2020年9月26日4:55PM
こんな具合に人々の思いを翻弄し、悩ませ、苛む。そのような政策が生み出すのは、まったくもってトラブルでしかあり得ない。トラブルに向かって、トラベルさせられることになるかもしれない。トラブルがトラベルして来てしまうかもしれない。
このように思い悩むことを、人々に強いる。こんな政策は政策ではない。政策は人々の心配や不安を解消するためにあるはずだ。窮地のどん底から、人々を救出するために、政策は出動するはずだ。トラブルの淵から、人々を救い出すのが、政策の役割であるはずだ。トラブルに向かって人をトラベルさせようとするなどもってのほかだ。
この政策を考案した連中は、あまりにも想像力に欠けている。こんなものを打ち出したら、人々がどんなに思い悩むことになるか。そのことを想像することができない。彼らには、他者の痛みに思いを馳せることができない。そもそも、これができない者たちに政策形成を担う資格はない。
彼らに他者の痛みがわかるのであれば、そもそも、このパンデミックのただ中にあって、「Go Toトラベル」などという軽佻浮薄なネーミングを思いつくはずはない。余計な心配ごとを作り出している。まさに、トラブル・メーカー以外の何物でもない。
ちなみに、英語で“go to trouble”と言えば、「わざわざやる」とか、「手間暇かけてやる」のニュアンスがある。わざわざトラブル・メークする政策集団には、何とか早々にご退場願いたい。もうこれ以上、トラブルはご免だ。
(浜矩子・エコノミスト。2020年7月31日号)