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「立つ安倍、跡を濁すな!」
「敵基地攻撃能力」首相談話に抗議
片岡伸行|2020年10月8日3:04PM
病気を理由に「大切な政治判断を誤る」から辞任すると表明した安倍晋三首相が9月11日に、またもや憲法違反の疑いのかかる「敵基地攻撃能力」保有をめぐる談話を発表した。その3日前、市民団体は「立つ安倍、跡を濁すな!」と抗議の声を上げていた。
首相談話には6月のイージス・アショア(地上配備型迎撃ミサイルシステム)配備断念を受け、「新たな安全保障政策」として「ミサイル阻止」の文言が盛り込まれた。「ミサイル阻止」とは、迎撃だけではなく「敵基地攻撃能力」の保有、つまり「やられる前にやれ」という先制攻撃能力のことだ。
「政治判断ができないから辞めるという人間が、よりによって憲法違反の敵基地攻撃能力保有を閣議決定ではなく『談話』で出す。立つ安倍、跡を濁すなと言いたい」
市民団体「武器取引反対ネットワーク(NAJAT)」の杉原浩司代表は9月8日夜、東京・永田町の首相官邸前に集まった約50人の市民を前にそう切り出した。
憲法学者の清水雅彦・日本体育大学教授は「本当に攻撃するかわからないけど(ミサイルを)撃たれる前に先制攻撃をするという敵基地攻撃は憲法と国連憲章に二重に違反する」と指摘。ジャーナリストの志葉玲さんは「イラクでも米軍の先制攻撃で多くの市民が犠牲になった。自衛隊にそれをやらせるのか。得をするのは武器商人だけ。巨額の税金は台風被害など災害に見舞われた人たちに使ってくれ」と訴えた。軍学共同反対連絡会の小寺隆幸事務局長は岡山大学や筑波大学などで進む軍事研究の一端を報告し「敵基地攻撃能力そのもの」と批判した。
共産党の井上哲士参議院議員、宮本徹衆議院議員、立憲民主党の本多平直衆議院議員、社民党の福島みずほ参議院議員も「敵基地攻撃能力の保有は憲法9条と国際法に違反するのは明白。許してはならない」と口をそろえた。
(片岡伸行・記者、2020年9月18日号)