沖縄ドローン規制で市民らが防衛省を追及
本田雅和|2020年10月14日6:53PM
【「レッドゾーン」めぐる攻防】
しかし、沖縄県選出の伊波洋一参議院議員や赤嶺政賢衆議院議員らが「埋め立て工事が始まる前は地元の漁船が自由に航行していた海域だ。工事が始まったから出てきた規制だ」などと指摘した。「水陸両用車の訓練など工事中の今は行なわれていない」などの証言もあり、担当官が沈黙する場面もあった。
特に「対象施設の区域」である「レッド・ゾーン」といわれる飛行禁止空域は、誤差を含むあいまいな地図と赤線で示されているが、陸地側にある起点と終点の2地点を除き、海上のポイントにについては明確な「緯度・経度」の位置表示はない。
防衛省の担当官は「陸岸から500メートルと告示しているが、レッド・ゾーンすれすれに飛ばしたいということなのか」と逆に問い返してきた。
空撮で工事を監視してきた大宜味村の土木技術者、奥間政則さん(55歳)は「その通り。規制前でもドローンを飛ばすとすぐに警察官が飛んできた。我々は趣味で飛ばしているのではない。逮捕されずに合法的に空撮したいのだ」と監視活動の正当性と必要性を強調した。
同席したドローン規制法対策弁護団の内田雅敏弁護士は「刑事罰のある規制をしながら構成要件を明確にしないことは、現場で恣意的な捜査を可能にすることになる。規制の範囲も現場でどんどん拡大していく」と厳しく批判した。
藤本代表らは「(埋め立ての)工事は防衛省試算で9300億円、沖縄県試算で2兆5500億円の巨大公共事業の現場でもあり、情報公開は当然だ。今回の回答はまったく納得できない」と改めて「誠実な文書回答」を求めた。
防衛省の担当官は「取材活動や国民の知る権利の重要性は理解しており、米軍にも要請している」と述べ、プロジェクト側からの要求については「貴重な意見」としながらも、飛行禁止区域の指定撤回や位置表示の明確化については「内部で検討する」などと答えるにとどまっている。
(本田雅和・編集部、2020年9月25日号)