同僚をネット批判の市議に辞職勧告決議
埼玉県日高市議会
本田雅和|2020年10月16日4:47PM
埼玉県日高市の田中まどか市議会議員(60歳)が、市の予算案を「目玉事業も新規事業もなく、わくわく感がない」などと批判し、予算審議中に予算書も開かず質問もしない同僚議員を「何もせずに座っているのはお辛いことでしょう」と皮肉る論評をインターネットで発信したことが、議論を呼んでいる。今年3月、「事実に反する情報発信をした」「他者への侮辱だ」「名誉毀損にあたる」などと認定され、議会多数派によって議員辞職勧告決議を受けた。
これに対し全国の女性地方議員や元国会議員ら176人が「感想や意見の発信にすぎない。決議は正当な議員活動への妨害だ」と抗議。8月には市民ら1618人が「異なる意見を数の力で排除するものだ」と決議撤回を求める請願を出す事態に発展したが、これも9月24日の本会議で否決された。
当選4回、前回選挙でトップ当選している田中議員は昨年3月にも「議員控室への議員以外の原則入室禁止という慣例に反して市民を出入りさせ、フェイスブックでこの慣例を批判した」などを理由にした問責決議を受けている。
今回の辞職勧告決議では、冒頭2項目のほか、昨年10月の議員活動報告に掲載した自作の4コマ漫画(左)も問題にされた。学校給食センターの建て替え計画について「もっと市民の声を届けよう」と呼びかける記事に付けた。日頃の活動で市民の苦情を伝えても「初耳です」などと答えられた様子を描いたが、これが決議では「市職員が誠実に市民に対応していないとの誤解を招く」「市職員に対する名誉毀損にあたるとの指摘を受けた」ことになっている。
田中議員は「発信しているのは事実そのものと私の意見。市民と交流し、行政を監視するのは議員の仕事です。漫画についても職員や読者から苦情はない。予算書を開かなかった隣の議員は私の質問中に『早く終わらせてくれよ』と逆に妨害している」と反論。法的拘束力のない議員辞職勧告には従うつもりもない。が、支持者らは「地域ボスが支配する議会の不合理に立ち向かう田中さんを孤立させていじめている」と心配する。